三省堂の転向


久しぶりに神保町の三省堂本店に行ったら、入り口のところにコミック雑誌の売り場が出来ていて驚いた。一般雑誌のコーナーも広くなり、陳列棚が整理されて見通しが良くなっていた。
他にも2階の奥にあった旅行関係の本を1階に移し、空いたところに4階のコミック売り場を持ってくるなど、かなり大規模な模様替えがされていた。三省堂のWebページにある売り場移動のお知らせからは、この模様替えによって1階と2階に売れ筋の商品を集中させようという狙いが読み取れる。
また2階の売り場の新しい配置にはフロア内での客の動きをよりスムーズにしようとする工夫が見て取れる。以前はフロアの端にあった新書の売り場が上りエスカレーター正面に移り、文庫本の売り場もやや中よりにずれた。上からやって来たコミック売り場は文庫と新書の間に置かれた。、またフロア中央、エスカレーターを背負った場所にあったレジも、下りエスカレーターの斜め前へと場所を移動している。上りエスカレーターで2階に上がり、新書、コミック、文庫と売り場を廻って新刊本を拾い、レジで精算した後、下りエスカレーターで1階へ戻るという動線が想定されているようである。
確かにこれで三省堂での買い物は便利になった。1階と2階をぐるりと廻れば日々の生活に必要な本はほぼ全て揃う。しかし店内一回りすればコミックから雑誌まで全て揃いますという便利さは、本の町、神保町の書店に求められる便利さではないだろう。これでは街中の大型書店と大差ない。
僕はコミックも読む人間だと断っておくが、それでもコミック誌や単行本を優遇する一方で、1階の文芸本の売り場を削り、海外小説は壁際に、古典や演劇関係は4階に追いやるという配置換えにはある種の転向を感じる。神保町の周辺も再開発が進んで高層ビルが建ち並ぶようになったから、三省堂も客層をそっち側にシフトさせたと見るのが適当もしれない。
さて、この配置換えで一つ困った事が起きた。書店に限らず大型店舗に入り浸る人はみんなそうだろうが、僕も三省堂の書棚の配置は体で覚えている種類の人間である。ところが店内あちこちで売り場が移動したので、どの階のどのあたりに何があるのかわからなくなってしまったのだ。売り場の配置をもう1回覚え直すのは面倒だなあ。僕も転向しようか(爆)