月の石とメーヴェ・プロジェクトとその他諸々

本稿は最初、ある種の人達「人類は月に行っていない」信者をからかう内容になるはずだった。
昨日のエントリの流れで,愛知万博のグローバルハウスの展示物、「月の石」の前で朝まで生テレビ風の討論会でもやりゃいいじゃないかというものである。
主催は当然テレビ朝日、彼らには責任がある。後援は朝日新聞社である(アポロって本当に月に行ったの? (朝日文庫)参照)。ビリーパー側の代表はまず副島隆彦氏(「人類の月面着陸は無かったろう論」)、後は黒沢年男とかビリーパーの芸能人を数名、お相手はJAXAの人(月の雑学 人類は月に行っていない!?)やSF作家の山本弘氏あたりか。
もちろんそんなことをやれば日本国より怖いトヨタ様のご機嫌を損ねることになる。しかしアメリカの英雄、オルドリン宇宙飛行士にデヴィ夫人を突撃させるのに比べればどうって事はあるまい。

とやらかそうと思ったら現実は僕のネタより少し先を行ってしまっているようだ。
月の石は愛知万博のセンターゾーン、グローバルハウス内のグローバルショーケースに展示されている。

「たからもの」が並ぶグローバルショーケースでは「人類の想像力」をテーマに、人類と環境の歴史を探る最先端の研究成果を6つのゾーンで紹介。世界各地から展示品が並べられている。

ここには月の石の他にマンモス、700万年前の猿人の頭骨、土星探査機カッシーニ、ボンペイの出土彫刻など世界中の文物が展示されているのだが、そこに一つ異質な物が紛れ込んでいる。
メーヴェプロジェクトである。

このプロジェクトの最終的な目標は、人(体重50Kg未満の女の子)がひとり乗れる「パーソナルジェットグライダー」を作ることです。

断っておくと僕はメーヴェプロジェクト自体にどうこういう気はない。正直にいうと体重は60kgです(爆)
でもこれをアポロ月の石カッシーニと同列に展示するのはそれはやっぱ違うと思う。
こういうものが紛れ込んでいると、他の展示物がいかがしくなったり、嘘くさくなりはしないだろうか。フィクションによる現実の侵犯ってやつだ。

それにもう一つ気になるのがグローバルハウスのガイド役である。二人いて、一人はアポロ17号の宇宙飛行士、ハリソン・ハーガン・シュミット氏なのだが、もう一人は作家の荒俣宏氏なのだ。
これまた荒俣宏先生には含むところは全くないのだが、宇宙飛行士のカウンターパートが荒俣さんというのはなんともである。やはり微妙にフィクション方向にずれる人ではないか。
かといって誰がいいかというと、やっぱり荒俣宏氏以外思いつかないのだ。後はバリバリに元気だった頃の小松左京氏とか、まだまともだったころの立花隆氏とか。
やっぱ荒俣氏が現状ではベストなのか。そうだよなあ。
他にぱっと思いついた文化人に比べればずっとまともだ。
どうもこの国の文化人というのは知名度の高い人はうさんくさくなるよなあ。自分の知名度を担保にして言いたい放題言う方に流れるもんなあ。養老先生とかね。他にもいっぱい居るけど。
なんかこうクリアな感じのする人がいないんだよね。

というわけで僕はこんな会話が愛知万博で交わされるんじゃないかとちょっと心配しているのである。



「あの月の石ってニセモノでしょ」
「前にテレビで言ってたしね」
「同じところにメーヴェもあったし」