イルハンのジレンマ

イルハンは2年契約で、年俸は約200万ドル(約2億2000万円)。前所属のトルコ・ベシクタシュへの移籍金が約450万ドル(約4億9500万円)で、神戸は総額約9億円を獲得に費やした。

9億のうち移籍金と年俸一年分はサンクコストである.よって問題は未払いの1年分の年俸と違約金,またイルハンが自由の身になれることによる新契約の獲得である.
ゲーム理論風にマトリックスを作ってみる.行方向がイルハンの選択肢で列方向がミキティじゃないやヴィッセル神戸の選択肢である.
数字は左がイルハンの得られる金額,右がヴィッセル神戸の得られるというか失う金額である.年俸は面倒なので2億とする.
解雇する+退団するはとりあえず考えない.

  解雇しない 解雇する
退団しない (2億,-2億) (2億+違約金+新契約,-(2億+違約金))
退団する (新契約,0) なし

見ての通りヴィッセル神戸側から解雇するというのはリスクが大きい.従ってヴィッセル神戸としては罰金などのペナルティを課しつつも契約し続けるしかない.
主導権はイルハン側にある.
一方イルハン側からすると選択の判断は年俸二億よりも魅力的な(これは金銭面だけとはかぎらない)新契約があるかどうかにかかっている.魅力的なオファーがあれば退団してもかまわないし,なければヴィッセル神戸から給料をもらいつつリハビリに専念しても良い.
契約内容の詳細がわからないとなんとも言えないのだが野次馬的判断としては

  1. 欧州のクラブにレンタル移籍.2億払うところがあるとは思えないので差額はヴィッセル神戸が負担.評価があがったところで売り飛ばす(退団しない-解雇しない)
  2. イルハン退団(退団する-解雇しない)
  3. 円満な形で手切れ(退団する-解雇する)

というあたりですか.

サッカー方面ではもうひとつ.サガン鳥栖のジレンマというのがある.

今季のサガン鳥栖には、大きな「宿題」がある。Jリーグは、㈱サガン鳥栖が6月30日までに資本金の「100%減資」を行わなければ、サガン鳥栖に対する救済措置を白紙に戻す方針を固めている。鈴木チェアマンの言葉によると、チーム解散やJからの退会勧告もあり得るという。その「100%減資」の「期限」が近づいてきた。

こっちはネタに出来ないほど深刻である.経営陣と株主の間で典型的なチキンゲームが行われていて,しかも経営陣の方がブレーキを外してしまっているのだ.株主は100%減資に応じるか,減資に応じすサガン鳥栖を潰すかという選択を迫られている.
このまま行けば6/30に壁にぶち当たりそうだ.

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