マインド・ゲーム

押井守大友克洋は引導を渡されちゃったかも知れない。ひょっとしたら宮崎駿も。
彼らのやり方はデジカメの開発競争に似ている。5万画素が30万画素、さらにはメガピクセルになったころはみんなデジカメの進化に素直に感動した。しかし200万画素、300万画素になると疑問符が付き始める。800画素なんて感動するのはスペックマニアだけだろう。
これと同じで、リアルすぎる映像や詳細すぎる設定、膨大すぎる作画枚数の先にはもう何もない。

一番象徴的なのは神様の出てくるシーンで、上にあげた人達ならどういう路線に走るにしろ、神様の館にふさわしい緻密な背景に、これまた緻密なキャラデザの神様を登場させただろうが、マインド・ゲームでは背景は真っ白で、神様には定まった形がなく、七変化を繰り返す。この場面で映像的にかなりやりたい放題やっているのだけど、こういうのを見ると、最近のアニメ大作の定番である緻密な美術設定やキャラデザ、その他もろもろの膨大な設定の意味を問いたくなる。あんなのはアニメの表現の上ではもはや制約、拘束、重荷に過ぎないんじゃなかろうか?スペック至上主義のオタクに食わせるための餌で、設定資料集やなんやらを買わせるための策略に過ぎないんじゃなかろうかね?

あとこの映画、勘ぐり過ぎかもしれないが、実は各方面に喧嘩売ってないか?ヤクザのボスの長ゼリフやあの辺の追跡シーンはちょっと押井テイストを感じる。ラストの屋形船のあたりも。いやそもそも話全体がビューティフル・ドリーマーじゃないかとか。それにキャストに吉本興業の面々を起用したのは、宮崎駿の豪華声優路線へのあてつけじゃないかとかね。

と、うだうだと書いたが、話自体はリアル「じゃりんこチエ」というか。リアル大阪な話らしいです。僕は大阪というと通天閣日本橋や道頓堀のあたりをぶらぶらした以上の経験はないのでよく分かりませんが。まあ、あの映画を見て、こんな頭でっかちなことを書く奴はアホだというのは確かです。

見たのは渋谷のシネ・クイント.渋谷は僕にとっては縁遠い街なので、あそこで映画を見るのは「ギャラクシー★クエスト [DVD]」以来である。3年も前の話だな。パルコ・パート3の8階にある映画館で、以前行った時はパルコ全体が地方の潰れかかったデパートみたいな空気で満たされていた。さすがにあれではやって行けなくなったようで、現在、1階から6階まで改装中である。入り口が一カ所しかないので注意。
ところでパルコ対面にあるシネマライズはやたら人が並んでいた。石井克人監督の「茶の味」を上映中なのだが、そんなにいい映画なのかな?

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