トンデモ本?違う、SFだ!

トンデモ本?違う、SFだ!

Amazonでは在庫切れ.店頭でなかなか見つからないわけだ.
SFの定義を巡って一部で論争の本.山本弘的SFとは「体育会系のバカ」のことらしい.
「愛」とかいって精神的な要素に還元したがるのも体育会系の体質なわけだし.
僕はジャンルを問わず体育会系は嫌いである.よって山本弘とは合わないようだ.合わないからといってどうというわけではないが.
合わないと言えばジュール・ベルヌでは「月世界旅行」じゃなくて「海底二万マイル (ポプラ社文庫)」でしょう.ネモ船長の憂愁ぶりが僕にはたまらないのだが,こういうことを書くと「文学」として評価していることになるんだろうな.
ついでにいうと「スタニスワフ・レム」=「ソラリスの陽のもとに (ハヤカワ文庫 SF 237)」というのは甘過ぎ.固定観念である.大体バカSFというなら「泰平ヨンの航星日記」や「宇宙創世記ロボットの旅」にバカSFはいくらでも出てくるわけで,そういった作品に一切触れずに「レム」=「ソラリス」=「バカ度が足りない」と決めつけている.この点だけでも山本弘のバカSFを語る資格に疑問符を付けるには十分だろう.「ソラリス」と違い,「泰平ヨンの航星日記」や「宇宙創世記ロボットの旅」は入手難易度という点でも山本弘おすすめSFとはいい勝負だ.
とはいえ「ソラリス」を評価しないという1点だけでは僕も山本弘とは同意見だ.
ソラリス」の問題点はわけわかんないものが人間の形で出てきちゃうことだ.その前後の作品,「砂漠の惑星」,「天の声」ではわけわかんないものは人類の目の前にわけわかんないものとしてそのまま出てくるのだが,「ソラリス」では人の形として出てきて,しかもわけわかんないものとは無関係に人間と人型との間にドラマが進行しちゃうので妙な誤解が生じる余地がある.その誤解が映像化されたのがタルコフスキー版「惑星ソラリス [DVD]」で,その粗悪品がソダーバーグ版「ソラリス [DVD]」である.
やっぱ人類はわけわかんないものとは直接対峙しなきゃだめでしょ.人型にしたりわけわかんないものに人の言葉なんか喋らせちゃいけません.
ところでレムといえば国書刊行会スタニスワフ・レム・コレクションはどうなっているんだ.今夏刊行予定(今猛烈に進行中です)って今日も気温が...まあ涼しいほうか.39度に比べれば.
ちなみにスタニスワフ・レム・コレクションの第1回配本は「ソラリス」です.しかもポーランド語原典からの新訳.早川のはロシア語版だっけ?
要するに,何が言いたいのかというと僕はレムが好きなのですね.SFなんぞ知ったこっちゃありませんが.

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