日本沈没地図,沈没寸前?

昨日オープンしたブログ人の目玉企画,日本沈没地図だが,企画自体が沈没寸前に見える.
トラックバック数に応じて色が変わるとかいうご自慢の地図も大半がトラックバック数0〜3件くらいの緑色で,トラックバック数が多い赤は東京,神奈川,福岡,大分しかない.しかも福岡と大分が多いのは特定のBloggerが大量にTrackbackを打っているからだ.
ネット上での参加型企画の成否はほぼ初日,あるいは初日から1週間程度で決まってしまう.参加型企画の典型的なシナリオとしては,立ち上げ期間中に大量のユーザーが押し寄せ,そのうち何割かが常連として残る.その常連によってある程度の規模のコミュニティが作られ,そのコミュニティに新規ユーザーが徐々に参加してコミュニティが成長していくというものだ.ところが日本沈没地図は最初の立ち上げ期間でのユーザー確保に失敗しており,1週間くらいは様子を見るべきだと思うが,このまま沈むだろう.
失敗の原因はいろいろあるが,原因の一つは日本地図を都道府県ごとに分割しちゃったことだ.日本には確か46個の都道府県があるわけで,つまり日本沈没地図の企画を成功させるには,いっぺんに46個の地域コミニュティを立ち上げる必要がある.これはいくらなんでも無茶すぎる.

追記
47個でした.

あと県ごとの競争にしたのもまずかった.日本沈没地図は甲子園とかあの辺から出てきた発想だと思うが,甲子園の場合,各地域あるいは都道府県ごとに出場枠が定まっている.日本には人口100万以上の市もあれば,総人口100万以下の県もあるけど,甲子園の出場枠は人口比で決まっているわけではない.夏の甲子園なら人口100万以下の県でも最低1校は出場できるし,逆に東京あたりがいくら人口が多いからといって10校や20校も出場できるわけではない.だから県ごとの対等な競争というやつが成立するのだけど,ネット上のボランタリな企画では枠なんてものはない.この手の競争をやればリアルの人口が多いところが勝つに決まっている.最終的に落ち着きそうな状況は東京,神奈川,大阪くらいがなんとかコミュニティの形成に成功して,それ以外の県は閑古鳥が鳴くというあたりか.
この程度の問題点は企画を煮詰める段階で誰でも思いつきそうなものだが,誰でもの内にブログ人の企画を検討した人間は含まれなかったようだ.ことによると県ごとの対抗心みたいなものに期待したのかもしれないが,BloggerというかNetWorkerにそんなものを期待するほうが間違っている.
最大の敗因はTrackback数に応じてエリアの色が変わるなどといったインタラクティブ性があるわりにはゲーム性に欠けるというあたりか.僕はあの仕掛けを利用したもっと受けそうな企画として"脱衣トラックバック"とか"全日本妹選手権トラックバック"とか,もう少しましなネタとして"小泉内閣トラックバック"とかぽこぽこ思いついた.どういうものかはタイトルから想像してください.あるいは日本地図でやるのなら季節ネタを使って,今の季節なら桜の花を咲かせるとか,5月なら鯉のぼりあげるとか,秋は紅葉,冬は雪だるまとか,きれいにまとめる手はあったと思う.日本沈没なんてどういう思考回路から思いついたのだろう?ある意味感心するし,常人の斜め上を行く発想ではある.
恐らくブログ人の企画の決定権があった人たちは,彼ら自身BloggerでもNetWorkerでもないし,その手のセンスを一生持てそうにない人たちであろう.そうじゃなきゃあんな人を舐めたようなネーミングの群れにゴーサインを出すはずがあるまい.

こんな事を書くと僕が日本沈没地図を思いっきり馬鹿にしているように思われるかも知れない.事実そうなのだが,実はあれの背後にあるアイデアは割と高く評価している.例えば各県ごとつまり地域を対象としてトラックバックを送るというのは,物理的なロケーションとWeb上の情報を結びつけるための非常にシンプルかつ秀逸なアイデアだ.
またテーマに対してTrackbackを送るというのもいいアイデアだと思う.これはBlog世論調査みたいなものにも応用できる.ある設問にたいしてYes,Noあるいは複数の選択肢を用意し,それぞれにURLを割り当ててTrackbackを送ってもらうのだ.従来のネット世論調査の泣き所は意見を表明したNetworkerのアイデンティティを識別する手段がメールアドレスくらいしかなかったことだ.メールアドレスはいくらでも粗製濫造できるが,blogは違う.立ち上げるだけなら簡単だが維持運営するとなるとそうはいかない.Weblogが名詞とかいわれる所以で,ネット上で個人を識別するためのアイテムとしては現状ではWeblogがベストだろう.ソーシャルネットワークがもっと普及するまでの話だとは思うけど.
ほかにもTrackbackにゲーム性を持ち込んだとか,Trackbackの出会い系な要素を明確に抽出したとか賞賛すべき点はいろいろある.これらのアイデアは適切な形で具現化されれば,かなりユニークなBlogポータルを構築したであろう.だがNTT/OCNによって考えうる限りもっとも脱力的でしょうもない形で具現化されてしまった.しょうもないである.最低ですらない.最低ならまだ救いがある.その点が惜しまれる.
とはいえアイデア自体は素晴らしいので誰かが骨を拾ってくれるに違いない.それともあの日本沈没地図は特許でも出願しているんだろうか?しょうもない形で世の中に出して,アイデアだけは盗ませて,あとで特許でがっぽりとか考えているのなら大したものだが.でも日本沈没地図の背後のアイデアを思いついたのは絶対NTTじゃないよな,後ろというか,中の人はだれなんだろうねえ?

とりあえずこの項終わり.

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