プレゼンスの維持にもコストはかかる.

そうですか「広告塔上等」ですか.だとしたら何も言う事はない,では面白くないので,少しだけ反論を試みる.もっとも広告塔のあたりはYes & Ambivalence Maneuverのおかげで突っ込みようがないので少し前にする.

まつもとさんは16日の日記で以下のように書いておられる


となると、「最初の難関」を乗り越えたオープンソース開発者の次の目標は、十分長い期間継続することでプロジェクトのプレゼンスを増すことで、最終的な目標は、その「ある程度長い期間」の間に今度は自分のプレゼンスとか地位とかいうようなものを確立すること、ではないだろうか。
まつもとさん自身は気づいておられるのかもしれないが,「自分のプレゼンスとか地位とかいうようなものを確立すること」は最終的な目標ではない.最終的な目標は「確立したプレゼンスや地位を維持し続ける」ことである.そしてこのセクションのタイトルにも書いたように,プレゼンスの維持にもコストはかかるのである.残念ながらプレゼンスや地位を確立したからといって楽隠居できるわけではない.むしろその逆である.
そして「プレゼンスや地位を維持して収入を得る」人間が陥りやすい陥穽は,そういう人間は遅かれ早かれ「プレゼンスや地位を維持するための仕事をやる」羽目になるということだ.僕が揶揄したような芸能人や文化人はその典型である.
まつもとさんは18日の日記で「やりたくもない「スキルで直接的に飯を食う」仕事をするよりは、広告塔になってでも好きなことをして飯を食う方が私にとっては百万倍健全だ。」と言われたが,広告塔の地位を守るためにやりたくもない仕事をするのは,やりたくもない「スキルで直接的に飯を食う」仕事をするよりも百万倍不健全だとは思いませんか?
ではどうすればよいのか?古典的ではあるが,かなり有効なビジネスライフプランニングがある.先に書いたように「プレゼンスや地位を確立」して「楽隠居」してしまえばいいのである.いわゆるIPO商売というやつである.つまり「ある程度長い期間」ではなく,タイミングを見てさっさと「プレゼンスや地位を確立」し,会社を設立して株を売り抜け一財産作る.まつもとさんくらいの有名人であれば,誰かが作った会社から未公開株を入手してもよい.もちろんその会社の広告塔になることが条件だが.創業メンバーの取締役に名を連ねるという手もある.別におかしなことじゃなくて直接的なソースは見つからなかったけどEric RaymondなんかもRed hatの未公開株を入手していたはずだ,結局株価は崩壊したが.

というのは半分冗談です.でもこれ以外のうまいやり方を思いつかないのも確かですし,成功事例が多いのも確かです.これが健全なやり方かどうかは個人の感性によるでしょう.とはいえこれが不健全だとしたら,松本さんの「広告塔」も同じくらい不健全だと思います.
IPOにしろ「プレゼンスや地位」によるにしろ,人気商売には違いありません.人気商売は収入を得るために他人の好意を引きつけるためのマーケティング活動が他の商売よりよりもはるかに重要で,場合によってはそれが全てになってしまうのは先のネットバブルのころによく見られた光景です.人気商売は本質的に不健全だと僕は思います.
そういうわけで


「プレゼンス」とか「業界内の地位」なんてのは技術力とは直接関係のない話で、どちらかといえばマーケティングに近い領域だ。そこに面白くないものを感じる私がいるのは事実だけどね。
というのは僕も同感です.

というあたりで逃げます.危うく上司ばれするところでしたし(笑)

追記
tdiaryは手動トラックバックみたいな機能はないのかな?URLとタイトルと概要を記入して送信するフォームみたいなやつ.まあいいか.

[permalink][contents][page top]