包帯クラブ-著者インタビュー


包帯クラブ The Bandage Club (ちくまプリマー新書)

包帯クラブ The Bandage Club (ちくまプリマー新書)

天童荒太さん 教養新書で小説
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20060215bk08.htm

この本を見て誰もが思う疑問、なぜプリマー新書で新作をという問いにはこう答えている。

「本に触れる機会の減っている若い読者には、値段の張る単行本は敷居が高い。気軽に聞けるリサイタルのような形で、物語を届けてみたかった」。その根っこには、「作品を通した読者とコミュニケーションが自分の仕事」という信念がある。

読んでいて「この本ずれているなあ」と思ったのだけど、このインタビューを読んで納得。やっぱ著者からしてなんかずれているし、感覚が古い。
本に触れる機会の減っている若い読者には、値段の張る単行本は敷居が高い」というのはあまりにもステレオタイプ化された言説だし、そんな若い読者に値段の張らない本を供給する敷居の低いルートだって現に立派に存在する。文庫書き下ろしとかノベルス系とか、おまえらジャンルの将来をちゃんと考えているのかと言いたくなるくらいに毎月山のように本が出ている
だから本当に若い読者に自分の物語を届けたいのなら既存のチャンネルをいくらでも活用すればよいと思うのだが、わざわざ特別ルートで本を出す理由はなんだろう。やっぱブランドの維持?エンタメとは同じ土俵には乗りたくないとか。

ちなみに本の中身は「世界と傷と癒し」がテーマの話です。クオリティはさすがに凡百の作家よりも数段上ですが、中身そのものは典型的な息苦しいお話です。主人公が超能力とか持ってもおかしくなさそうな系の。