野洲高校の優勝に思う
一月九日の高校サッカーの決勝、いろんなサイトの記事や観戦レポを読んだけど、判で押したように同じことしか書いていない。
- 技術の野洲VSフィジカルの鹿実
- 鹿実のプレスに対して、前に出る野洲、山本監督のゲームプラン
- 鹿実失点の場面、押し上げておけばという鹿実、松澤総監督のコメント
- 後半、鹿実、飯森の投入。これで前線に起点ができ、攻められるようになった
- 防戦一方の野洲、ついに同点。延長突入、鹿実の勝利は時間の問題に見えた
- 後半7分に決まったカウンターは野洲サッカーの結実
- 山本監督はレスリング出身、ドイツ留学中にサッカーにはまり、日本の高校サッカーを変えると公言
- 「ジェフに入ってもよろしくお願いします」とマイクに叫ぶ、野洲の青木
- 野洲のサッカーはセゾンFCなどのジュニア世代からの育成の賜、でも鹿実もディアマントという下部組織があって今の三年生が一期生
- 野洲が負けたら山本監督はノーコメントで去る決意だった
大体こんなところを適当な順番や分量で書けばだれでも立派なレポが書けてしまう。野洲の勝ち越し点が決まった時、国立バックスタンドの高くて寒いあたりで見ていた僕も、「サイドチェンジから始まる……は野洲サッカーの集大成といえる」なんて文章が勝手に浮かんだ。後でどこのレポを見てもみんな「田中のサイドチェンジから始まる……」と書いていて大笑いした。そのくらいわかりやすい試合だった。サッカーの試合に限らず、こんな誰の目にもわかりやすい出来事はそうはない。
強いて議論の余地を探すと、野洲の守備、あるいは鹿実があれだけのシュートを放ったのに勝ち越し点を奪えなかった理由だろう。野洲の体を張ったねばり強い守備や鹿実のFW栫が出場停止だっただけでは説明がつかない。鹿実の松澤総監督はクロスの精度の低さに理由を求めているが、それでもポスト直撃やゴールマウスすれすれというシュートは何本もあった。
やはりこの辺はサッカーの神様のせいにしておいた方がいいのだろうか。ちょっと気の毒に思うけど、鹿実が勝っていたら、みんな記事のネタ探しに困ったに違いないのだ。