鶏が先か卵が先か

Net上で何かユーザー参加型の新しいサービスを始めるとする。Webサービスでもいいし、あるいはWikiでもいい。読者の投稿を受け付けてページを更新するという市民新聞のようなものでもいい。
こうしたサービスを始める人たちには目論見がある。とにかくサービスを始めて告知する。初日は一見さんが殺到する。そして一見さんのなかから定住者が出てくる。やがては定住者を中心にコミュニティが立ち上がっていく。実際、既存のネットコミュニティはそうやって形成されてきたわけである。
でもこの考え方は今でも有効だろうか。
一つ例を挙げる。7月20日ツカサネット新聞が始まった。JanJanLivedoor PJに続く第3の市民新聞として始まる前には注目されたのだけど、現在はてなブックマークではトップページが登録User数5、サイト全体の総登録URL数4という状況である。はてなブックマーク中心主義という批判を受けるかもしれないが、この有様では離陸に失敗したと言わざるをえない。団藤先生はすでにツカサネット新聞は駄目という烙印を押されている。
こうした批判に対しては運営側からは自分たちのサービスを長い目で見て欲しいという反論があるだろう。でも二昔前ならともかく今じゃ毎日、どこかで新しいサービスが立ち上がっている。長い目で見てもらおうというのは甘い考えである。ユーザー参加型に限らずNet上のサービスはもはや初日で一見さんに強烈な印象を与えないと駄目である。始まった時からサイコーでないといけない。それこそiTMS-Jみたいにである。
この初日というのがユーザー参加型の泣き所である。ユーザー参加型は多くのユーザーが多くのコンテンツを提供することによっておもしろさが出てくる。逆に言えば初日、ユーザーがいない状況ではそれこそ真っさらで、貧弱なサンプルみたいなコンテンツがちょぼちょぼとある程度である。おもしろいわけがない。そうした有様をみて初日の一見さんはこれは駄目という烙印を押す。一度駄目という烙印を押されると挽回するのは難しい。今時、Net上のサービスは初日から質量ともに充実していないと成功はおぼつかない。だがユーザー参加型は初日が一番質量ともに貧弱な状況にある。ここにジレンマがある。
ところがユーザー参加型のサービスをはてなが始めるとどうなるかというと、いきなり初日から大勢のユーザーが押しかけお祭り騒ぎになる。日記で言及するはてなユーザーが大勢出るから話題にもなる。はてなにおいては新規サービスのスタートアップ時の不利は存在しない。このあたりもはてなの強みの一つではないかと思う。
なんてことをMyClipがはてなブックマークほどに流行らなかったのは何故か :小林Scrap Book を読んでちょっと考えた。もちろんこれは「何故か」への直接的な回答にはなってはいないのだけど。