海軍病院船はなぜ沈められたか―第二氷川丸の航跡

海軍病院船はなぜ沈められたか―第二氷川丸の航跡 (光人社NF文庫)

海軍病院船はなぜ沈められたか―第二氷川丸の航跡 (光人社NF文庫)


第二次大戦中、インドネシア沖で拿捕され、その後日本軍の病院船、第二氷川丸として活躍したオランダ客船オプテンノール号の数奇な運命と、様々な形で同船に関わり、戦中戦後を真摯に生き抜いた日本人の姿を描くノンフィクション。
…で、終わらないんですね、これが。戦後、オプテンノール号の周囲には今度は右翼、ヤクザ、暴力団といった真摯ならざる紳士どもが群がる事になる。オプテンノール号は終戦直後、海軍大臣の直命により舞鶴港沖で自沈処分された。オプテンノール号拿捕時の状況が国際法上問題であったかららしいのだが、その不可解な経緯により同船は金塊やタングステンなどの重要物資を隠匿するために沈められたのではという説が浮上してきたのだ。
舞鶴沖のオプテンノール号に対しては戦後何度も遺骨収集などの名目で潜水調査が企図される。その度に出資が募られ、何億という資金がかき集められ、一部はどこかの闇の中へと消えて行く。最後には山口組とオイルダラーのジョイント・ベンチャー(ネタじゃありません)までが乗り出してくる。あの日本船舶振興会も関わってます。結局オプテンノール号は沈むM資金と化してしまった。
人の欲望ってのは怖いねえ。

参考

沈没船に旧海軍財宝2兆円分が眠る!?
http://www.mainichi.co.jp/life/family/syuppan/sunday/00/0326/tokusyu1.html