マフィア的全体主義の脅威

経済誌フォーブスのロシア語版編集長パーベル・フレブニコフ編集長(41)は9日夜、モスクワ市内北東部にある事務所を出たところ、接近してきた自動車の車内から何者かの銃撃を受け、病院に搬送される途中で死亡した。

言論統制が強まるロシアでは、独自色を出していたNTVテレビが十日までに、人気討論番組「言論の自由」など、政治問題を扱う二つの番組の放送中止を決定した。同局の政治風刺アニメも降板予定で、これで同国の三大ネット局がすべてクレムリン傘下に収まることになる。同国マスコミは少しずつソ連的状態に近づきつつある。

ブッシュ大統領が30年以上前に州兵としての義務を果たしていたことを示すはずの記録を含むマイクロフィルムが、国防総省の「うっかりミスで消失した」ことが、明らかになった。9日付の米紙ニューヨーク・タイムズが報じた。

ロシアとアメリカは似たもの同士になりつつある.ロシアの方が少し過激なだけだ.
冷戦では一応ソビエトの「計画経済と全体主義」に対し西側の「自由経済と民主主義」が勝利したということになっているが,僕は疑っている.自由経済が計画経済に勝利したのは間違いないが,民主主義は全体主義に本当に勝利したのだろうか?
第2次大戦にも同じ事が言える.これも「ファシズムに対する民主主義の勝利」ということになっているが,敗戦国の日独伊はともかく,それ以外の国,大戦終結の余波で政体が変わった国や植民地支配から独立した新興国がどうなったかというと,軍と秘密警察が国を牛耳る全体主義国家になったところが多い.半分は今は亡きソビエトの責任だとして,もう半分,アメリカの影響下にあった国がナチみたいになっちゃたのは何故なんだろうね?これら全体主義国家には多かれ少なかれナチ,特にゲシュタポのノウハウを導入したところが多い.最近の典型例はイラクサダム・フセイン政権である.
で,問題は冷戦後である.冷戦後,東欧諸国では共産主義政権が崩壊し,代わりに民主主義政権が台頭したが,その後,共産党,あるいは名前を変えた旧共産党勢力が政権に復帰したところが多い(ルーマニア,リトアニア,ポーランド).またマフィアの跳梁も東欧諸国共通の悩みである.マフィアの跳梁はロシアも同じだが,この国では共産党は崩壊した.だがこの国の要人はみな元共産党員である.大統領からして元KGBだ.
今のロシアは軍と富裕層とマフィアの連合体が国を動かしているといったも過言ではない.この連合体の中でマフィアはかつての秘密警察のような役割を担いつつある.これが21世紀版全体主義の進歩したところで,秘密警察が国民を拉致・殺害すれば,秘密警察は一応国家の公的機関なので,このような蛮行は国家の犯罪ということになる.だがマフィアがやったことなら,犯罪者の卑劣な行為ということになり,国家としては遺憾の意を表明するだけでよい.国の責任ではない.ちなみにロシアマフィアは国内だけではなく対外工作の役割すら果たしつつあるらしい.

引きずる「ロシアの影」=リトアニア大統領罷免へ
http://kk.kyodo.co.jp/is/column/russia/russia-040120.html

発端は昨年10月、リトアニアのメディアが報じた同国情報当局の秘密文書。パクサス大統領に120万リタス(約4200万円)の選挙資金を提供したロシア人実業家や大統領の安全保障担当補佐官がロシアの情報当局やマフィアと関係を持ち、国際テロ組織への武器売却や資金洗浄にも関与していたという内容で、新聞はこぞって「リトアニアウォーターゲート事件」と書き立てた。

さて一方のアメリカであるが,いまのアメリカの状況については,プロパガンタたっぷりとはいえマイケル・ムーアの「華氏911」が暴いてくれるのであろう,たぶん.しかし日本公開っていつになるんだ?8月とかいう話らしいが.

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