モーパッサン短編選

モーパッサン短篇選 (岩波文庫)

おもしろい.短編一つごとにノートを取るのもいいかも

「田園秘話」,フランスの片田舎の2件の農家,チュヴァッシュ家とヴァラン家.家族構成も畑の痩せ具合もほぼ同じ.
そこに降ってわいて来たのが養子の口.ある子供のない貴族夫妻が子供を一人譲ってほしいと頼み込む.その代わり月100フランの終身年金を支給するという条件.チュヴァッシュ家は断固として断り,ヴァラン家は躊躇したあげく月120フランの条件で承諾する.
結末はストレート過ぎて意外というか衝撃的ですらある.やはり幸福は金で買えるのか?こういう話,世の中にいっぱい転がっていそうだ.
僕としては神の不在が気になる.別にそんな大げさなものじゃなくて「神様から授かった子を売るわけにはいきません」と宣言しちゃったらどうなるかということ.小説の場合,神様の名を出した以上はチュヴァッシュ家を不幸にするわけにはいかないお約束なので,チュヴァッシュ家の方も貧しくも幸せに暮らしましたという話になるのか?少しひねるといわゆる泣ける話になりそう.
となるとモーパッサンのチュヴァッシュ家が不幸になったのは信仰の欠如が原因だろうか?


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