オタクな空間 日本の独自文化、世界へ発信 伊の国際的建築展テーマに

日本の最先端文化はアキハバラ? 今秋、イタリアで開かれる国際的な建築展「第九回ベネチア・ビエンナーレ建築展」日本館のテーマが、「おたく:人格=空間=都市」に決まった。会場では、東京・秋葉原の街並みや、同人誌即売会の会場など“オタクな空間”を紹介。欧米建築の影響を受けない日本独自の文化として、世界へ発信される。

中略

また森川氏は、アニメの美少女キャラクターなどにひかれることを意味するオタク用語“萌え”に着目。今オタクが最も“萌える”フィギュアを作る人気原型師大嶋優木氏を起用、作品の目玉として、巨大な幼女フィギュアを展示するという。

書評めいたことを書こうとして溜まっている本だが「ハプスブルグ家の宮殿」(ISBN:4061497154)にこんな記述がある.
1873年のウィーン万博の話.


なぜ日本の文化がウィーン万博でそれほど注目を集めたかといえば,そこにおいて日本は驚くべき展示を行ったからである.圧倒的だったのは,ハリボテでできた巨大な大仏の首だった.本当は大仏全身のハリボテを日本から船で運んできたのだが,ヨーロッパ到着後,トンネルに引っかかる可能性が生じたらしい.
そこで大仏の首と胴体を切り離してウィーンへ持ってきたのはよいが,火事で胴体部分が焼けてしまったため,難を逃れた首をやむなく展示したのが実情だった.さらにこの大仏の首を取り囲むように,これまた巨大なしゃちほこや灯籠,五重の塔の模型や仏事用の和太鼓などが雑然と並べられた.

「ハプスブルグ家の宮殿」(214-215P)

ハリボテという一種のまがいものを堂々と展示しても悪びれることがないというのがウィーン万博における日本の展示だったそうな.
一説によると当時の美意識としてはこっちの方が正当で,いかにも日本的な詫びとか寂びとかは19世紀末になって再発見されたらしい.
オタク趣味といっても要するに先祖返りしただけなのだな.

追記

ウィーン万博についてはこちらも参照のこと

ウィーン万国博覧会 電子展示会
http://www.ndl.go.jp/site_nippon/vienna/index.html

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