イラクから撤退したいアメリカ

イラク人虐待問題
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/world/abuse_of_iraqi_prisoners/

イラク人虐待問題についてはいかにもありそうなことなので驚きはしない.
驚くべきは,この疑惑がこのタイミングで浮上してきたこと.そしてアメリカ政府があっさり認めてしまったことだ.
これはリーク,アメリカ政府筋からの意図的なリークと考えて間違いなかろう.
ではその目的はなにかというと,ずばり撤退の口実である.
とりあえずはファルージャから撤退する口実.中期的にはイラクでのアメリカの関与を縮小する口実,長期的にはイラクから撤退するための口実である.
アメリカとて馬鹿ではないからこれ以上,イラクに大軍を駐留させ,露骨にイラクの内政に関与するのは愚行であることはわかっているはずである.
かといって撤退も簡単にはできない.今のイラクから撤退すればテロに屈したという形になり明らかに好ましくない.
よって「テロに屈した」という以外の形の撤退の口実が必要なのである.
そこで引っ張り出されてきたのが捕虜虐待疑惑である.
イラクで散発するテロリストの襲撃に手を焼いて撤退したというのであれば,明らかな敗北なのでアメリカの威信につく傷は大きい.
だが捕虜虐待疑惑により反米感情が高まり,イラクからの撤退を余儀なくされたのであれば,アメリカの威信につく傷はより小さくて済む.
今後の展開としては,アメリカ国内でも早期撤退論が浮上してきてブッシュ政権としては対応に苦慮するという形になるのではないか.もちろん「形」であって早期撤退論が出てくるのは泥沼に足を突っ込んでしまったブッシュ政権としても実は望むところである.国際的,国内的な圧力に押されて撤退することになるのだからテロに屈したことにはならない.野蛮なテロリストに負けたのでなければそれでいいのだ.
というわけでわが国としてもそろそろ何か適当な口実を用意する必要があるのではないでしょうか,小泉さん?

追記
今日来たスパムに"Why is National Guard still in Iraq?"というのがあったぜ.スパムネタとはいえアメリカでもこういう声が大きくなっているのだろう.


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