アップルシード

もう一度見に行ったのでした.
場所は新宿オデオン座,歌舞伎町のど真ん中である.
この前のスバル座もそうだがもうちょっといい場所を押さえて欲しかった.
客の入りは100人に満たないくらいか.客層は歌舞伎町をうろついている人がそのまま入った感じ.

これはもう頭の調節が必要で,21世紀のミニチュアワークということで受け入れたほうがいいのかもしんない.やはりスケール感がないというか,比較対象になるようなもの,はっきり言えば動く人間が画面にないと物の大きさがわかんないのであった.
例えば冒頭部で女神像みたいなものがぶっ壊れるシーンがあるのだが,あれの頭が自由の女神くらいの大きさがあると言われても納得してしまうというか,どんな大きさでもありうるように僕の目には見えるのでした.
この辺の技術は発展途上なわけだし,3DCGだけではなく,それを使う側の演出上の問題も結構大きいんじゃないかと思う.気になった点を2,3書いてみる.まあ僕が書くようなことは多分公知の事柄ばかりだと思うけど.

ひとつはなんでもかんでもくっきりはっきり見えすぎることだろう.オリュンポス内部は塵も埃も光化学スモッグもないという設定なのかもしれないが,外部世界も暗いは暗いなりにくっきりはっきり見えちゃうのである.この辺がやはり建物なんかがミニチュアに見えてしまう原因じゃないかしら.

もうひとつは何でもかんでもぴかぴかで汚れていないのである.例えばブリアリオス.高いところから海中に落ちて,嵐の海をさ迷って,(沈まなかった理由は問わないで置こう),砂浜に打ち上げられてですね,何であんなにテカテカに光ってますか?表面傷だらけになって,あっちこちボコボコに凹んで,泥や砂だらけになって,ワカメの一つでも引っかかってないとおかしいではないですか.そんでもってカニフナムシでも這っているのがお約束ということで.
マジで製作サイドで誰も疑問に思わなかったのか,あのシーン?
大体アップルシードなんてミリタリーものなわけで,ミリタリー物というと汗と汚れと傷がつきものなわけで,従来のミニチュアやコスチュームを使う特撮なら,汚したり傷つけたりするのに全力をあげるだろうし,あるいは撮影中に勝手に汚れたり傷ついたりするものである.ところがアップルシードではテクスチャの細かさだけはそういう従来の映像に近づきつつもこういう要素が見事に欠けているのであった.3DCGやるような人はプラモデルとかつくったことはないんだろうか?ガンプラの場合はつや消し,もしくは半光沢をおすすめします。光沢はおもちゃっぽくなってしまうのでおすすめしませんというのは基本だと思うぞ.
後は映像を使う側の表現技法か.さすがに二回目になると何でもかんでもテカテカ輝いて,光と影がついてみたいなのはちょっと鼻につく.いや,この辺は許せるにしても許せないのは鏡面みたいなところに周囲の光景が映りこむというやつで,あまりにもわざとらしくこういうシーンが出てくるのである.昼休みに街中を歩いた時に思い出して観察したのだが,確かにそこらじゅうでガラス面に周囲の光景が映っていたりするのだけど,そういうあたりまえすぎる光景を3DCGでここまで出来るんですよって強調されてもねえ.アップルシードの場合,そういう技術面でのデモを兼ねているんじゃないかとは思うけど.
そういうわけで来年公開予定の第2作ではウェザリング表現を目指して欲しいものだ.ついでにカニさんもよろしく.

追記
思い出した.昔,ロボットなんかで「超合金」とかいう玩具があったな.アップルシードに出てくるメカの質感は超合金に似ているのであった.ひょっとしてあれがおもちゃに見えるのは世代の問題?

その他予告編

スチームボーイ
いまからでも遅くはないから,キャスティング変更して吹き替えのやり直しをしたほうがいいんじゃないかと.できれば英語版にして字幕付きにしたほうが吉.なんか日本語喋るのが似合わないんだよね.内容的には「ナディア」をロンドンを舞台にしてやるような話なのかな?
パウルの動く城
短い予告編のみ.こっちは「ラピュタ」?
ヴァン・ヘルシング
「諸君,私は戦争が好きだ」じゃなくて,モンスターパニックみたいな映画らしい

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