アップルシード(ネタバレ)

少しややこしい仮定の話をしますと,もしアメリカにアップルシードと言う名前のゲームがあってそれが映画化されたとするとこういう映画になるでしょう.そういう映画です.日本とか日本発とか士郎正宗原作みたいなことは頭から完全に排除した方がいいです.
最初映画の冒頭に出てきた廃墟のスケール感が0で,それこそ3Dゲームの中みたいな映像を見て頭を抱えましたが,ヒトミが出てきたあたりから,こりゃそういうことを気にするジャパンのオタ向けの映画ではないことに気付き,頭を切り替えてからは素直に楽しめました.だってキャラデザがあれなんだもん(笑).とにかく映画のフォーマットがアメリカ向けというかインターナショナルな仕様で序盤から中盤にかけてはひたすらわかりやすいです.そのかわりハリウッド臭いご都合主義やお間抜けさが散見されるのはご愛嬌でしょう.これに比べればイノセンスは良くも悪くも糠味噌の匂いがぷんぷんしますね.
僕が見たのは有楽町のスバル座で,場所のせいもあるんでしょうが,入りは半分に満たないと言う有様だったので,興行的には大失敗だろうなと思ったのですが,浅はかでした.この映画は端から日本市場など相手にしていません.海外で成功するかどうかは僕には予想は出来ませんが.
とは言うもののこの映画も完全にジャパニメーションの影響を脱し切れていないようで,中盤から後半にかけてのストーリー展開にジャパニメーションの影が落ちてきます.で,そのへんのストーリー展開が唐突で浮きまくっています.特にじいさん達の陰謀が露見するあたりは完全に空回りしています.あれなら素直にアップルシード奪取に失敗したウラノス将軍が実力でDタンク破壊に乗り出すという展開にしても良かったでしょう.でもそれでは人間が悪者になって敗北してしまうのでバイオロイドが人類殲滅の陰謀を企てるという話のほうがもっとよかったでしょう.そんな単純明快な話にしたほうがずっと出来がよくなると思います.
まあ,ああいうアメリカンでフラットな映画のフォーマットではストーリー展開などどうでも良いし,ほんの僅かでも錯綜したプロットは載らないということはよくわかりました.とりあえずジャパンのオタクに生まれたことを感謝します(笑)
後,蛇足ですけどあのスケール感が0なゲームっぽい映像はどうにかならんかとは思います.あれではサンダーバードなんかのスーパーマリオネットの方がまだましです.
ところでそのサンダーバードですが,実写版映画の予告編をみました.メカニックはまあいいとして,登場人物の顔がみな緩んだ間抜け面に見えたのは気のせいでしょうか?8月公開だそうですが,ちょっと不安です.




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