小国デンマークの悲哀


ムハマンド騒擾はいまやイスラム圏全体に広がりつつある。この事態の原因を言論や信仰と絡める論者が多いが、もっとシンプルに考えるべきだろう。
デンマークが小国だったというのが原因なのだ。
反米、反イスラエルは今更新鮮味がない。仏独はデモ以上のことを構えるには差し障りがある。対米カードとしても貴重だ。
だがデンマークは小国である。遠慮なく叩ける。イランやイラクでは政府レベルでも通商関係の断絶や契約の凍結など嬉々として反デンマークの動きを露わにしている。これが仏独だったらどうだろうか。民衆レベルでの抗議ならまだしも政府レベルでの煽りにまでは発展しないに違いない。明らかに舐められている。デンマークイスラム圏に鬱積している反西欧感情の捌け口にするにはジャストサイズだったのだ。
そしてデンマークイスラム圏に広がる反デンマークの動きを沈静化すべく,サウジアラビア代表団を派遣する意向らしい。自国の大使館が焼き討ちされたというのに、自分からメッカの守護者の元に出向いて取りなしてもらおうというのだ。デンマークには小国の悲哀を感じる。西欧の小国でもオリエントの諸国と互角に対峙できるという時代は終わったのかもしれない。