オシムの言葉が私に聞こえない


オシムの言葉―フィールドの向こうに人生が見える」本日発売。
しかし適当な本屋で手に入るだろうという、僕の甘い考えは西京極でヴァンフォーレ甲府が勝てない事を当て込んだ某監督のゲームプラン同様、過酷な現実を前にしてあっさり崩壊してしまった。その辺といってもそれなりにでかい本屋でも置いていないのだ。Amazonでも売り切れ。マーケットプレイスでは早くも倍の値段がついている。
ちなみにこの本の初版数は著者の木村元彦氏によると7000部だそうな。
この7000という数字が、以前ナビスコ杯でのインタビューでオシム監督がやや自嘲的に語ったジェフサポの頭数と一致するのは偶然ではないだろう。ジェフサポは以前Jリーグのオールスターの監督投票の時に、ネットのファン投票で1日1度はオシム監督に評を入れるという1日1オシム運動なるものを展開して見事オシム監督をJ-eastの監督の座に就かせたことがある。ジェフサポはそのくらいオシム監督へのロイヤリティが高い人々である。
今回「オシムの言葉―フィールドの向こうに人生が見える」の版元、集英社が初版数を7000部に設定したのも、ジェフサポが1日1オシムならぬ1人1オシムは買うだろうと見込んでのことに違いない。
しかし集英社様にあらせられましては、オシム監督のサッカーを見習って、この出版不況下においても、今少しリスクを犯して、攻めの姿勢を貫いて欲しかったところだ。
以前、ネタにしたが、確かにジェフサポの数は7000人くらいしかいないかもしれない。しかしサポーターとしてはジェフサポではないがオシム監督のファンではあるという人は大勢いるのだ。国立競技場でナビスコ杯決勝を観戦した45000の観客のうち25000はそうしたオシムファンであったと推定されている。
だから最低30000部の売り上げは見込めるはずなのだ。
もっとも版元にもそれなりの冷徹な計算があるのかもしれない。オシムファンという人々もジェフサポに負けないくらいオシム監督へのロイヤリティが高い人々である。だから初版は完売が確実に見込まれる堅い部数だけを発売し、これを手に入れ損ねたオシムファンが焦って書店やAmazonへの注文に殺到するところを迎え撃とうという戦術なのかもしれない。オシム監督の「走るサッカー」とは違い、堅い守備からのカウンター戦術というところか。観客の立場からするとあまりおもしろくないサッカーである。
しかし勝利追求に徹した妥協のない戦術ではある。そしてちゃんと機能する戦術でもある。僕もこの戦術に引っかかってAmazonへと走らされてしまった。出荷は3週間は先らしい。