スモール・ボールVSマネー・ボール

今季大リーグの流行語となった「スモール・ボール」は、犠打や盗塁など機動力を使って戦うチームカラーのこと。同タイプのエンゼルスアストロズポストシーズンで活躍。強打のヤンキースレッドソックスを倒したため、大リーグを席巻した構図となった。

ワイトソックスは現在、チーム打率と出塁率がともにア・リーグ11位にもかかわらず、メジャー最高勝率をマーク。守備力と投手力が高いのはもちろんだが、やはり目を引くのは打線だろう。実際に盗塁は110とリーグ最多で、犠牲フライと送りバントの数はそれぞれ1位と2位。結果として同5位の総得点を奪っているのである。そして、その打線で重要な役割を担っているのは、井口資仁二塁手だろう。

スモールボール、機動力を活かした野球なのだろうけど、「マネー・ボール」では完全否定されていたような。

マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男

マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男

マネー・ボール」はメジャー・リーグで選手年俸の合計金額の順位が下から数えた方が早いというくらい安いという貧乏球団、オークランド・アスレチックスの意外な快進撃の秘密を探るドキュメンタリーである。
この意外な快進撃の秘密は……面倒だからここの過去記事から引っ張ってこよう。

その異質な例外アスレチックスの秘密だが、実は秘密でも異質でもなく、選手のデータを統計学的に解析して、勝利するための原則を導き出しただけである。試合に勝利するには得点が必要であり、得点するには塁にランナーが出塁する必要がある。よって勝利する球団を作る上で最も重要なファクターは平均打率でも長打率でもなく出塁率である。他にもいろいろあるが基本的にはこれだけである。おもしろいのはこういった原則を最初に発見したのは野球を商売とする人たちではなく、在野のファンであるということだ。

そしてこの解析によると、盗塁やバントやサインプレーはアウトカウントひとつ損するだけで論の外なのだそうな。だからオークランド・アスレチックスは足は遅いが選球眼のよい選手ばかりを揃え、四球でもなんでもいいから粘って塁に出るというやり方で出塁率を上げる。
ところが今メジャーを席巻しているのは統計学的には論外な盗塁、バントを駆使する「スモールボール」である。事実、アスレチクッスもやはりスモール・ボールを駆使するロサンゼルス・エンゼルスに競り負け今季はア・リーグ西地区2位に終わった。
あたしゃメジャー通じゃないので、エンゼルスの勝因、アスレチクッスの敗因、スモール・ボールの真相についてはなにもわからない。だからこのエントリは「やはりスポーツは統計だけで勝てるものじゃないんだ」なんて月並みなことを書いてお茶を濁しておこう。