U-18日本代表、仙台に散る


9/15より仙台市仙台スタジアムでサッカーのユース国際カップ、仙台カップ*1が開催されている。
今年は海外からはブラジル代表とクロアチア代表が参加し、これに日本代表と東北代表を加えた4チームで行われている。
この大会の見所はいろいろあるのだろうが、やはり東北人としてのメインイベントは最終日に組まれた「東北代表VS日本代表」の一戦であろう。
「東北代表VS日本代表」という言葉のイメージから、ローカルの東北代表が日本代表相手に善戦空しく敗れ去るというイメージを抱いたあなた、確かに2003年に行われた第1回大会はそのイメージの通り、東北代表は1-2で日本代表に敗れた。しかし第2回大会では激戦の末、東北代表が4-3で日本代表を下した。そして第3回はどうなったかというと、とんでもないことになってしまった。

両チームのスタメンはJ's Goalの日本代表記事を参照されたい。日本代表はヴェルディの森本がチーム事情*2のため離脱、その他スタメンを前の試合からいじってきた。
一方、東北代表はスタメン11人中7名がインターハイ優勝の青森山田の選手、一見急造チームのようで実は骨格はしっかり出来上がっていたのだが、というのは試合が終わってから言える評価であって、東北代表は前半6分に早々と失点、その後もハーフウェイラインから向こうには行けない状況が続く。一方日本代表、先制後も相手も押し込み優位に立つ。、しかし簡単に先制できたせいか、ピッチ上の日本代表にだらだらした雰囲気が漂い始める。それでも前半の早い段階でもう一点取っていればこの試合は日本代表の大勝で終わっただろう。しかし次に点を入れたのは東北代表のほうだった。
前半33分、中盤でのボール奪取から青森山田の澤本-小澤と繋ぎゴール!これで1-1の同点。この一撃でピッチ上の東北代表とスタンドの観客の間には「これはイケル」という空気が漂い始めたのだが、そんな空気にまったく鈍感なのが日本代表、同点にされたのに相変わらずだらだらしたプレーに終始。その緩慢なプレーの代償は大きく、衝撃の瞬間はその7分後にやってきた。
東北代表・香川がゴールキックをクリアし損ねたボールをかっさらいゴール前に突進、囲まれつつもゴール正面で右にスルーパス。これを受けた小澤がマーカーの追走を受けつつ冷静にゴールを決め逆転。2-1。この鮮やかなプレーにスタンドを埋めた6000人の東北人はみな狂喜。このまま東北リードで前半終了。どう見ても予想外の状況である。
後半、両チームとも2名換えてきたが、展開は変わらない。日本代表は確かに選手個々の力は東北代表よりずっと上で、ボール奪取、パスカットなど楽楽こなす。しかしこのディフェンスが楽に出来るあたりが精神的なゆるみに繋がったようで、日本代表、表面上は優位に試合を進めつつもピリッとせず、逆に53分、DFのクリアミスからさらに失点してしまう。これで3-1。
このあたりから両チームとも足が止まり出す。大会最終日で中一日の三試合目ということもあって、疲労が溜まっているのだろう。特に東北代表はプレーが雑になり、安易なパスカットやボール奪取を許すようになる。そして72分、日本代表、マイク・ハーフナーがゴール。3-2。この流れから行けば日本代表がやがて同点に追いつき、恐らくは逆転出来たのだろうが、あいにくサッカーの神様はゆるゆるなプレーに終始した日本代表を許してはくれなかった。
78分。ゴール正面でフリーキックのチャンスを得た東北代表。ゴールまでの距離は35メートルと遠かったが、キッカー澤本が直接狙ったボールはクロスバーに当たって地面でVの字に跳ね返りゴール!4-2。見事なフリーキックだったが、35メートルのフリーキックが入るのは、半分は神様の依怙贔屓のせいだろう。たぶん天罰である。
この時間の追加点は決定的で、体力面でも限界に来ていた日本代表は精神面でも崩壊した。以後、日本代表は東北代表の猛攻の前にサンドバック状態。86分にまたも失点。そしてロスタイムは4分。
普通、長いロスタイムは勝っている側に不安を、負けている側に勇気を与えるものだが、日本代表にはもはや意地を見せる気力すらなく、むしろ東北代表が6点目を取る可能性の方が高かった。そうならなかったのは僅かな幸運とキーパーの奮戦のおかげである。かくして5-2で試合終了。日本代表は東北代表にチンチンにやられてしまったのである。
この試合、東北人としては痛快の極みだが、U-18日本代表は11月にアジアユース予選を控えており、日本代表にとって仙台カップアジアユース予選のシミュレーションという位置づけであった。それがこのていたらく。特に精神面のダメージは大きく、立て直しは急務である。

*1:http://www.sendaicup.com/

*2:ヴェルディは9/17の試合に負けたため、17位の自働降格圏内に落ちた