大容量ストレージを巡る憂鬱

週末に愛機ThinkPad T23の内蔵ハードディスクをオリジナルの48Gバイトのものから秋葉で買ってきた100Gバイトのものに換装した。作業に要した時間は約5時間。
このうちハードディスク本体を物理的に換装する作業はすぐに終わった。ThinkPad T23はセキュリティーロック用のネジを一つ外すだけで内蔵ハードディスクが引っこ抜けるようにできている。このように保守性に優れているあたりがヘビーユーザーがThinkPadに惚れ込んだ理由であり、Lenovoに買収されたことにより失われるのでないかと危惧されている文化でもある。作業時間は15分もかからなかった。
で、残りの5時間-15分の4時間45分は何をやっていたかというと全てディスク内容のコピー作業に費やされた。
交換するのはノートPCの内蔵ディスク、OSが入ったブートドライブである。それゆえコピー作業は慎重に行わざるを得ない。だから複写前のフォルダーのチェックやディスクのリードライトテストは全て行うようにしたのだが、これがとんでもなく時間がかかった。
何せコピー元のハードディスクの容量が48G、コピー先が100Gである。フォルダーのチェックやディスクのリードライトテストをやるだけでそれぞれ1時間ちかくすっ飛んでいく。そして本番のコピー作業も2時間近くかかった。遅いと言いたいところだが、40Gバイト近いデータを2時間でコピーしたのである。一分300メガバイト以上のスピードでコピーしている計算になる。文句をいうどころか小泉首相に習って「よくやった。感動した」とマイPCを誉めてやらないと天罰が下る数字だ。
ちなみに現在市販されているPCのハードディスク容量はノートPCで60から80Gバイト、デスクトップPCで200Gくらいだ。これが数年後にはデスクトップPCでテラバイトくらいはいってしまうだろう。そういう時代のディスクの換装作業がどういうものになるかということを想像してみると少し寒気がしてくる。もちろんそのころにはPCのCPUやI/Oの性能も向上しているはずだ。しかしこのPCの性能向上への期待ってやつは過去数年間思いっきり裏切られて続けている。それに多少PCの性能が良くなったところで数テラバイトのデータを右から左へ移動させるのが1時間くらいで終わるようになるとは思えない。テラバイトクラスの時代にはディスクの丸コピーというやり方は現実的ではなくなる可能性は高い。
もっともその数年後という時代にPCのローカルストレージにコピーするに値する情報は入っているだろうか?企業ベースではシンクライアントの導入が進んでいる。個人ベースでもGMailのようなWebメール、BlogやSNSといったWeb上のサービスが個人のデータを吸い上げている。音声や動画のようなファイルもローカルストレージではなく家庭内サーバーに置かれるようになるかもしれない。ローカルストレージに最後まで残るのはOSと個人設定だけということになるのかもしれない。そういう時代になったらPCの個人環境の引っ越しというのはフラッシュメモリに個人設定を吸い上げて終わりということになるのだろうか。そういう光景の方が確かに未来的に見える。
なおThinkPad T23にはこの際なのでIBM Rescue and Recoveryを導入することにした。ボタン一つ押すだけでバックアップからデータを復元してくれる優れもののソフトでしかも無料である。ただこのソフト、内蔵ディスクにバックアップをとるにはそれなりの空きスペースが必要なので手を出しかねていたのである。しかし今なら60ギガバイト近い空きスペースがある。余裕でバックアップがとれる。
ところがこのソフト、インストールするまでが大変だった。なにせsetup.exdのサイズが384メガバイトもあるのだ。元IBM、現Lenovoのサイトから落としてくるのに30分近くかかった。そしてsetup.exeをクリックしてからインストールが始まるまでが長い。ファイルを解凍するのにとんでもなく時間がかかっているようだ。インストールが完了するまで10分はかかっただろうか。まあとにかくインストールが完了し、インストーラーの指示に従ってマシンを再起動させた。再起動させると自動的にRescue and Recoveryが立ち上がってバックアップ作業を開始した。「現在システムのBackup中です。処理中は電源をオフにしないでください」という警告ダイアログが表示される。ダイアログの下の方には作業の進行状況を示すゲージが表示され、ゲージのすぐ上にはこんな文章が出た。

推定される残り時間 248分

大容量ストレージを巡る憂鬱の種は尽きない。