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南朝全史-大覚寺統から後南朝まで (講談社選書メチエ(334))

南朝全史-大覚寺統から後南朝まで (講談社選書メチエ(334))


中世ヨーロッパの城の生活 (講談社学術文庫)

中世ヨーロッパの城の生活 (講談社学術文庫)


南朝全市」は南朝って何じゃろうという謎に挑んだ本。
南朝後醍醐天皇太平記神皇正統記などによって名ばかりは高いが実体としては不明な点が多く、遺された史料も北朝方に比べると圧倒的に少ない。本書では南朝勅撰和歌集である新葉和歌集、あるいは南朝が発行した綸旨などの公文書を手がかりに南朝の実像を探る。
この本、序文に考えさせられることが書いてある。著者は1988年に中公新書から南朝についての新書「皇子たちの南北朝―後醍醐天皇の分身 (中公新書)」を出しているのだが、それを読んだ読者からの手紙が序文に紹介されている。手紙の主は歴史の教師で赤松円心(倒幕に大きく寄与し、後に足利尊氏つまり北朝方に与した人物)の子孫。戦前は政府の公式見解となった南朝正統論の立場から教え、戦後は「翻って」両朝並立論を教える事になったそうである。この「翻って」という言葉に込められているものは重い。戦前における天皇そして史観なるもの重みがこの「翻って」という言葉から感じ取れるのである。


「中世ヨーロッパの城の生活」は読み始めたところ。ハドリアヌスの長城建設から900年以上たった西暦1066年、ノルマンディー公ウィリアムが上陸した頃のイングランドにはまともな城は5つか6つしかなく、その城も石ではなく木材と土塁で出来ていたそうな。