定刻発車

定刻発車―日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか? (新潮文庫)

定刻発車―日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか? (新潮文庫)




腰帯に「ぜひ電車の中で読んで下さい」とあるのが皮肉に思えるくらいタイムリーに出た本。
「なぜ日本の電車は定刻通りに動いているのか」、「なぜ我々は電車が定刻通りに動くのを当たり前だと思うのか」知りたいことはほぼ全て書いてある。


いかんなあ、みんな判で押したようなことを書いているぞ。
判で押さないことを少し書いておくと、今回の事故を含めて日本の社会が抱えている宿痾は結局これにつきるようだ。

小さなストックで大きなフローを生み出さなければならないのは、ある程度まで日本の鉄道の宿命のように感じて仕事をしている。


定刻発車、317ページ

従来はこの少ないストックを有効に使うために、緻密な計画と現場の踏ん張りに大きく依存していた。しかも通勤電車の場合この現場には利用者つまり乗客も含まれるのが泣けるところだ。
このストックをさらに有効に使うためには、情報処理の高度化に期待するところが大というのが著者の考えである。ロボット化された電車が電車の運行状況などの電車をとりまく環境を自立的に認識して動くという、ユビキタスくさい未来像を期待しているようだ。
つまりユビキタス化された社会は、都市というストックを効率的に運用できるのでそこにゆとりが生まれるという、かなり大きな未来図に繋がっているのだ。
このあたりは連休に考えてみるネタとしてはおもしろそうだ。

追記
つまりウォーターフォール的な計画主導の開発方式からイテレータ的な状況に応じた柔軟な開発方式に転ずれば、開発現場にゆとりが生まれて、開発者が家に早く帰れるようになる、というのは話が違うか(笑)