復讐の掟

ネタがないので小話で埋めるのであった。
日本じゃないイスラムっぽい国のお話である。



昔、旅人がとある街で些細なことから決闘沙汰になり、相手を殺してしまった。
旅人は青ざめた。まずいことに相手はその街の有力者の従兄弟だった。復讐を恐れた旅人は馬に鞍を置き街から逃げ出した。
旅人は三日三晩、夜も寝ずに馬を走らせ、四日目の朝に自分の故郷の村に帰り着いた。
まだ朝も早かったので村の門は閉まっていた。門の前には刀を持った門番が立っていた。
旅人は門番に門を開けてくれと頼んだ。
門番は言った。
「何があったのです?埃だらけでひどい有様だ。」
「これこれこういうわけで逃げてきたのだ」
「それは災難でしたな。いま門を開けます。ところであなたの決闘の相手ですが、頬に傷が二本ある大男では?」
「知っているのか?」
「有名な乱暴者です。そのうち馬鹿な死に方をすると思っていました。しかし困った事になりました」
「困った事?」
「その男は私の従兄弟なのです。私は一族の義務を果たさねばなりません」
旅人は門番に刀で首を切られた。