海賊
- 日本人人質の安否不明 マラッカ海峡の海賊襲撃
- http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050315-00000015-kyodo-int
一般的に考えれば宇宙飛行が可能になった現在、「海賊」が存在すること自体が不思議なことと思われます。
かなり古い話だが、昔リブロポートから「海賊の世界史」という本が出ていた。
- 海賊の世界史(フィリップ・ゴス) 復刊リクエスト投票
- http://www.fukkan.com/vote.php3?no=17386
キャプテン・キッドを初めとする様々な海賊の愉快なエピソードの集大成といえる本である。
この本のおしまいには確か「海賊というものは歴史上の存在となるだろう」と書いてあった。原著1934年、まだユニオン・ジャックが世界中の海に翻っていた時代の話である。
実際、大西洋と地中海ではこの時代海賊は完全に過去のものとなっていたのだ。この海域における海賊の拠点といえば、1にカリブ海、2に北アフリカ沿岸だが、どちらも19世紀末には完全に西欧列強によって制圧されていた。西欧、特にイギリスによる世界の植民地化は海賊的略奪行為によって始まったのだが、植民地体制の完成は皮肉にも海賊行為を完全に根絶してしまった。少なくともヨーロッパからはそう見えた。
この当時ヨーロッパ以外の海域では海賊は小規模とはいえまだ健在ではあった。出典、詳細とも忘れたが、確か両大戦間に南シナ海でイギリスの潜水艦(潜水艦です)が中国だかベトナムだかの海賊と戦ったことがある。とはいえこのまま西欧列強の支配体制が続けば海賊などという悪疫はいずれは消滅するだろうと思われていたのである。
「海賊の世界史」は残念ながら絶版で手に入らない。そもそもリブロポート自体がすでに存在しない。しかし現代版「海賊の世界史」といえる本がある。「図説 海賊大全」である。
- 作者: デイヴィッドコーディングリ,David Cordingly,増田義郎,竹内和世
- 出版社/メーカー: 東洋書林
- 発売日: 2000/10
- メディア: 単行本
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この本はいささか即物的で文学的香気に欠けるとはいえ、日本語で読める海賊の本ではもっとも充実しており、「海賊の世界史」が扱っていた領域をほぼカバーしている。そして「海賊の世界史」が扱っていなかった領域も扱っている。
現代の海賊である。
「現代の海賊」にはまるまる一章が当てられており、その中にはマラッカ海峡の海賊どもも出てくる。残念ながら現代の海賊は愉快な存在ではなく、文学が入り込む余地はまったくない。
2004年1月5日、インドネシア籍プロダクト・タンカーがマラッカ海峡を航行中、銃で武装した海賊の襲撃を受けてハイジャックされた。海賊は13名の乗組員を人質に取った後、身代金の要求を伝えるために船長を解放した。海賊との交渉は1ヶ月間に及んだが、海賊は4名の乗組員を射殺。残る8名の乗組員は海に飛び込み脱出した。
あいにく海賊は歴史上の存在にはならなかったし、これからもなりそうもない。
参考
- 日本船主協会:海賊インフォメーション
- http://www.jsanet.or.jp/pirate/index.html
- 日本財団図書館(電子図書館) SRO年報平成13年度版(マラッカ・シンカ゛ホ゜ール海峡の情勢)
- http://nippon.zaidan.info/seikabutsu/2003/00046/mokuji.htm
その他海賊の本
- 作者: ジョースタンリー,Jo Stanley,竹内和世
- 出版社/メーカー: 東洋書林
- 発売日: 2003/06
- メディア: 単行本
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海賊大全の姉妹編。こっちは読んでいない。Amazonによると「 第5部 現代の女性と海賊行為(ファックスと高速船外モーター付きボート)」なんて見出しがあるようだ。
海のテロリズム―工作船・海賊・密航船レポート (PHP新書)
- 作者: 山田吉彦
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2003/10
- メディア: 新書
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未読だが目次によると、第二部でアジアの海賊を扱っているようだ。 マラッカ海峡波高し、日本の生命線「マラッカ海峡」という見出しがあるから、今回事件を起こしたマラッカ海峡の海賊について詳しく取り上げているらしい。
海賊の歴史:カリブ海、地中海から、アジアの海まで (「知の再発見」双書)
- 作者: フィリップジャカン,増田義郎,Philippe Jacquin,後藤淳一,及川美枝
- 出版社/メーカー: 創元社
- 発売日: 2003/12/01
- メディア: 単行本
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「図説 海賊大全」とよりもコンパクトな本。入手もしやすい。