愛知はトヨタの1セクション


万博幻想―戦後政治の呪縛 (ちくま新書)

万博幻想―戦後政治の呪縛 (ちくま新書)

愛知万博がらみのところをとりあえず斜め読み。
著者自身も博覧会協会委員を勤めたので内情が詳しく書かれている。文章や記述がうだうだして読みにくいけど。
特に万博大好き男、堺屋太一先生の大活躍ぶりは秘技ちゃぶ台返し炸裂で笑える。

万国博覧会は巨大な文化行事であり、その『聖なる一回性』の故に文明の跳躍期には偉大なる効果を発揮しうる」と信じて疑わない堺屋は…(中略)…高さ100メートルの外国政府館を建設、その壁面1ヘクタールを100万人収容の巨大野外劇場のスクリーンとする壮大な構想を打ち上げる。

万博幻想―戦後政治の呪縛 (ちくま新書)」246ページ

こうして始まった堺屋と市民グループ、県、協会、通産省と愛知財界を巻き込んだすったもんだは、地元では「堺屋騒動」と呼ばれている。

万博幻想―戦後政治の呪縛 (ちくま新書)」247ページ

だが真の問題は、愛知万博を巡る混乱や迷走は単なる前景に過ぎないということだ。

いまや愛知万博は、こうした広域展開するトヨタ文化施設のひとつのアネックスにすぎなくなりつつあるかのようにすら見える。トヨタはすでに以前から愛知の一企業という枠を超えていたが、いまや愛知そのものがトヨタの一セクションといった様相すら呈しつつあるのである。

万博幻想―戦後政治の呪縛 (ちくま新書)」259ページ