PLUTO 1 (1)

PLUTO (1) (ビッグコミックス)

PLUTO (1) (ビッグコミックス)

まとめて読んでみるとなんか変な話だなと思う。
この世界では人型のロボットが家族を持ったり、子供まで持ったりして人間と同じように暮らしているのだが、そこまで行く過程では技術的にも社会的にも相当数の問題をクリアしないといけなかったはずだ。
この「PLUTO」はその辺の問題がとにかくクリアされた世界だということになっている。それはいい。しかしそんな未来社会で「ロボットである」ということが問題になるだろうか?これが違和感のその1。
もう一つは、あちこちに散りばめられているエピソードの断片が扱っている問題が初歩的なのである。殺人ロボットにしろ「その男の子の気持ちがわかりました」にしろ「家族持ちのロボット」が出てくる世界では解決ずみじゃないといけない問題のはずだ。20世紀の数学者がいまさらピタゴラスの定理あたりで悩んでいるような、そんな違和感がある。
最後なのだが、そもそも「PLUTO」ってロボットが主人公である必然性があるのだろうか?以前ソラリスで書いたことにも繋がるのだが、ロボットがSFに登場する場合、人間に対する「他者」としての役割を果たすことが期待される。でも「PLUTO」に出てくるロボット達は他者性が欠如している。せいぜい情緒面に問題がある人間というところだろう。たぶんこの話ってロボットを強化人間にしても成立するんじゃないかしら。
というわけであんまし評価は高くないでした。
でも浦沢直樹は好きなので豪華本はともかく次巻も買うだろう。