購入したい本

購入本ではない。購入したい本である。

平和を破滅させた和平―中東問題の始まり(1914‐1922)〈上〉
平和を破滅させた和平―中東問題の始まり(1914‐1922)〈下〉

【モスクワ30日共同】ロシア旅客機同時爆破テロで、2機に別々に搭乗、自爆した疑いが強まっているチェチェン女性2人がチェチェン共和国首都グロズヌイで同居、事件2日前に他の同居女性とともに姿を消していたと、30日付のロシア紙イズベスチヤが報じた。

このように先のロシア旅客機同時爆破事件にはチェチェンの反ロシア勢力の関与が疑われている。チェチェンコーカサス山脈の北、トルコとはグルジアを挟んだ向こう側だ。
この地理的条件から見当がつくように、かつてチェチェンを含むカフカス地域はオスマン・トルコ帝国の支配下に入っていた。しかしトルコの衰退に乗じて南下するロシア帝国によってカフカス地域は制圧され、多くのイスラム系民族がロシアの支配下に入った。チェチェン人は険阻なコーカサス山脈に拠って抵抗を続けたが1859年、ついにチェチェン人もロシアの軍門に下った。
オスマン・トルコは最盛期には西はモロッコ、東はイランまでを支配下に置いたがその後衰退、それでも19世紀末には、バルカン半島パレスチナメソポタミアを領土としていた。しかしこれらの領土も19世紀末から20世紀初頭の数々の対トルコ戦争と第1次世界大戦後のオスマン・トルコ帝国の解体によって失われてしまう。これらかつてのオスマン・トルコ領がその後どうなったかというと、

バルカン半島
第1次、2次のバルカン戦争、第1次世界大戦の火種、第2次大戦中のパルチザン戦争、冷戦終結後のユーゴスラビア紛争、コソボ紛争
パレスチナ
第1から第4次までの中東戦争レバノン内戦、パレスチナ解放闘争
メソポタミア
イラン・イラク戦争湾岸戦争イラク戦争、その後のテロ活動

とこのように紛争多発地帯になっている。これに先に書いたカフカス地域、ここも民族紛争多発地域であり、最大の戦争であるロシアとチェチェンの戦いは1994年以来、和平期間を挟みながらも延々と続いている。
歴史を巨視的な視点から見るとオスマン・トルコ帝国の解体とその遺領の分配という19世紀以来の問題が現在もなお進行中であり、これが収束する気配が全く見えてこないのである。

このテーマを扱っているのが「平和を破滅させた和平―中東問題の始まり(1914‐1922)」なのだが、上下巻合わせて8000円というのがなあ。うーん。



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