王国の鍵(5)

王国の鍵(5) 紫堂恭子
あすかコミックスDX.角川書店 ISBN:4048537520

夏至の日.コミックス4巻分をかけて築き上げられてきた罠がついに炸裂したわけだが,ちょっと肩すかしを食らった感じ.
竜人の謎の方は懲りすぎ,しかも最初から抜け道があるのは反則でしょう.もう一つの罠の方は,古典的だが心には染みるなあ.今後の展開は見え見えだが古典的なモチーフはそれでもよいのだ.
肩すかしを感じた原因の一つは,出てきた悪人が薄ぺっらいところにもありそう.表情とセリフ2,3で全部分かってしまう薄さで,アレン公爵やバルドゥス将軍と同レベルだ.紫堂恭子の悪役といえば「グラン・ローヴァ物語」のパナケアや「辺境警備」のあの男(名前忘れた,googleで調べても出てこないところを見るとよほど..嫌われるよなあ)のような複雑な人物像がまず思い浮かぶのだが,王国の鍵の悪役,竜使いはそのレベルまで達していない.
とはいえパナケアタイプの悪役は竜人に割り振っちゃったし,あの場面で出てくる悪役は2,3コマくらいでわからないといかんよな.それに妄執に取り憑かれた人間は薄っぺらになってもしょうがないか.
今後の展開は全く読めない.5巻で終わるという噂があったが8巻くらいは行きそうだ.王位争い,隣国の介入,竜使いの暗躍などストーリーを左右するファクターは多いが,鍵を握るのはレティシア姫だろうか?失意の姫がさらにダークサイドに引き込まれるというのが一番ありそう.しかし第1巻では健気で元気なお姫様として出てきたレティをこうしてしまうとは紫堂恭子も意地悪だなあ.


[permalink][contents][page top]