モーパッサン短編選

モーパッサン短篇選 (岩波文庫)

短編「シモンのパパ」
今から100年以上前のフランスの片田舎の話.少年シモンにはパパがいない.死別したというわけではなく,私生児でというお話.
たぶんオチも含めて賞味期限ギリギリでしょう.あと30年もすれば何のことやらさっぱりわからなくなっている可能性が高いです.
話は突然未来に飛びますが,「宇宙のランデブー2」(ISBN:4150110875).太陽系に謎の飛行物体が飛来して,調査のために探査隊が編成されるのですが,あるジャーナリストがこの探査隊に潜り込もうして,探査隊編成の権限のあるロシア人の将軍に娘の秘密を暴露すると言って脅すのです.
その秘密というのは,...娘が精神病院に入院しているということなのですね.
なんでこれが問題になるのかというのが理解しがたいです.現代においても同情はされるかも知れないが問題にはならないでしょう.
とにかくSF作家の描く未来というのはそういうところらしいです.
まあはっきり言っちゃうと中身は文体を含めて,ハーレクインロマンスに近いものがあります.ついでにいうとこの娘が精神病院のネタはル・カレの「スマイリーと仲間たち」(ISBN:4150404399)のパクリだと思います.同じようにロシア,当時はソビエトの最高幹部クラスのスパイを脅迫する場面があります.
上のエントリにも通じる話ですが,新しい題材を扱っているからといって,その扱っている当人も新しいとは限らないという事ですね.むしろ昔の人の方が進んでいるかも.


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