観戦記文化

ほぼ偏見だがネット上で観戦記というと,ほぼ確実にサッカーである.
さっきgoogleで調べてみたけど,サッカー,次がプロレス,その次がマイナースポーツ(失礼)で,野球はあるけど大学野球で,プロ野球は意外と少ない.ちゃんと調べたわけじゃないけどね.
なんでだろうね?
幾つか理由を推測してみる.

  1. プロ野球ファンは年齢層が高いので,ネットに無縁な人が多い(これが一番か?)
  2. 試合数と試合間隔.130試合で3連戦当たり前は観戦記を書くには厳しいか.
  3. 試合を文字で語る文化がない.これが意外と大きいかもしんない.サッカーは文字で語るという文化が成立している.格闘技の事情は詳しくないけどあっちもそうだろう.一方野球は選手や監督といった人を文字で語る文化はあっても,試合そのものを文字で語る文化に乏しい.
  4. 日本でblogブームが始まったのが2003年後半で野球はシーズン終了に近い状況だった.これもあるかも.

3について言えば,偏見丸出しで言うと,野球は瞬間さえ記憶していればいいスポーツだからじゃないかしらね.ヒットを打った瞬間,ホームランを打った瞬間.三振を取った瞬間.ゲッツーにした瞬間.そういう瞬間だけを適当に並べて語れるスポーツである.つまり瞬間的な場面だけで構成されるスポーツで,事実スポーツ紙なんかはそういう構成で野球の記事を書いている.だから試合そのものをまるごと語る必要はない.
ところがサッカーは立ち上がりがどうとか,前半15分までがどうとか,後半ロスタイムがどうとかをベースとして書くわけで,試合が時間の連続であるということをいやでも思い知らされる.野球の場合はベースになるのは回,イニングで人為的に区切られた時間,まさに場面であるな.
点が入った光景を語るしても,直前のプレーがどうとか,押され気味でサイドが突破されてマークがずれるシーンが多々見られたみたいな事象をうじゃうじゃ並べてそれらの必然的な帰結として点が入ったと書かないといかんのだ.でそういうことをある程度ならべると試合そのものを語ることになる.
まあこれだけなら野球は野球,サッカーはサッカーでいいのかもしれないが,弊害もある.スポーツ紙のサッカー記事.あれはまさに野球的な文法で書かれた記事でおかげでサッカー的な立場からいうとあんまし役にたたない.つーかそういう文法で語られているのは野球だけじゃないんだよね.他のスポーツみんなそうじゃないかしら.この国のスポーツメディアの問題点は野球,プロ野球が中心になっていて,しかもその野球に適したフォーマットで他のスポーツが語られている点にある.この問題はディア関係者&読者が代替わりしないと解決されないだろうな.
と野球が全部悪いことにして本稿は終わるのであった.

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