黄色いチューリップの数式

黄色いチューリップの数式―ルート-15をイメージすると
読み途中.
かなり多面的な本.軸になっているのは虚数についての認知の過程である.虚数,負の数の平方根はすでに16世紀には登場していたが,当時はありえない数,方程式を解くための便宜上の存在として厄介視されていた.それが整数や分数や実数などと同等の数としての市民権を得るまでに3世紀かかった.
数学者というと論理や数式の世界に住んでいて,イメージや想像力などという言葉とは無縁と思われているがそれは違う.16世紀の数学者カルダノは4以上のべき乗はそれに対応する幾何学的実体が存在しないので考えるのは無意味であると書いた.彼にとってべき乗とは線や平面や立体といった幾何学的イメージと密接に結びついていたのである.そして当時の数学者達にとって虚数は彼らのイメージや想像力の枠外の存在であった.本書ではその虚数認知の過程を歴史的視点ではなく,心の問題,虚数が人間の想像力の「中」に入っていく過程を追体験しようとしている.

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