FreeSoftwareとFree Rider

以下乱雑な論考(ですらないな)

またこの話題になってしまうなあ
オープンソース・バブルを危惧する」--フリーソフトウェアイニシアティブ 副理事長 鈴木裕信氏
http://itpro.nikkeibp.co.jp/members/ITPro/oss/20040107/3/
(要登録)

いまいち要領を得ない記事だと思う.オープンソース・バブルの話題は置いといて,やはりここ


◆普及はしたが,開発者の環境は改善されず責任だけが重くなっている

 オープンソース・ソフトウエアは,大企業の官公庁向けセクションといった,日本で最もコンサバティブな人たちまでがそれを使ってシステムを構築するようになりました。しかし,開発したり,普及活動をしたりしている側からはどうか。社会的に認知されるようになり,責任だけは増えましたが,待遇は良くなっていない。かえってよりプレッシャが増している。

 また多くの場合,オープンソース・ソフトウエアの開発や改良は会社から業務として認められていない。会社から帰って1人で夜中まで開発しているという状況があるわけです。それを「好きだからやっている」の一言で終わらせていいのか。このままでは,日本からの優れたオープンソース・ソフトウエアが増えることは望めません。

      • どうすれば改善できるでしょうか。

 まず,企業は,社内のオープンソース/フリー・ソフトウエア活動を認知すべきです。オープンソース・ソフトウエア開発者が,夜,家に帰って寝ずにやっているのが健全な姿ではないはずです。昼間,勤務先でもできるように,活動を認めなければなりません。

 また,オープンソース/フリー・ソフトウエアの開発者を雇用すべきです。開発者が好きでやっているのは確かですが,かすみを食っているわけではない。経済的基盤が必要です。

 例えばSRAは,PostgreSQL開発チームの中心メンバーであるBruce Momjianをコンサルタントとして契約して収入が確保できるようにし,彼がPostgreSQLの開発に注力できるようにしています。PostgreSQLを使用して恩恵を受けている企業はほかにもたくさんある。何もしないで利用するだけでは,フリー・ライダー(ただ乗り)と非難されることになりますよ。

ある維持運用にコストがかかるサービスがあり,かつそのコストを負担しない人間でも,そのサービスを利用できる場合Free Riderと呼ばれる問題が発生する.
Free Software(語呂の関係でここはOpenSourceとは書かない)はFree Riderを許容すべきなのか?まずFree Softwareの性格から言ってFree Riderは原理的には拒否できない.しかしFree Riderの多い組織,コミュニティが早晩崩壊するのも確かである.というもののオープンソースが現在もてはやされている理由のひとつはプロプラエタリなソフトに比べ低コストだということで,これは当然Free Rideへの誘惑を誘うことになる.
Free Rider対策というのは制度上の問題で,非難したからといって解決するものではない.それに一般的なサービスと違い,OpenSourceはFreeRiderが増えたからといって,維持運用のコストが増えるわけではない...はずだ



Question

ソフトウェアの所有を否定する根拠して,ソフトはものと違って,ただでいくらでもコピーでき,オリジナルが劣化するわけではないというのがあるが,サポートはどうだろう?
ユーザーが増えた場合,コミュニティにかかるサポートコストはその分増えるのか?
.どうも既存のオープンソース論は作る側も使う側もHackerという前提が暗黙裡にあるのではないか?Hacker同士ならサポートコストの問題は原理的に発生しないはずだ.Hackerの終焉はこの辺から始まるのかもしれないな.Hackerが自分が作り出したものに付随する責任を背負い込むようになったらHackerでいられるか?

まつもとさんの御意見の引用

とりあえず人さまの意見を引用してお茶を濁そう.さすがまつもとさんであるな.こういうことも考えておられる.

個人的には後者だと思う。もちろん、サッカーと違って、オープンソースソフトウェアは誰でも対価を払わないで利用してもかまわないという点が違うといえば違うのだが、この条件がオープンソースの発展の障害となることはないと考える。

みんなは知らなかったかもしれないが、すぐれたオープンソース(フリーソフトウェア)はビジネス的に注目されずもっと経済的に厳しい状況の中でもずっと生き延びてきていた。ここ何十年も成立してきたものが、注目され状況がかえって良くなっている現代で成立しないと考える人は、要するに「自分の常識で説明できない」から否定しているだけではないだろうか。

もうひとつの理由は、私は企業はそんなに馬鹿ではないと考えていることだ。近視眼的には「ほっておいても無料で手に入るものに金を払うのは馬鹿だ」という考えもあるだろう。しかし、オープンソースを活用する企業がオープンソースが振興するために投資することが長い目で見れば非常に有効であることは、ちょっと考えれば分かるだろう。「海に行けば魚が獲れるのに養殖するのは馬鹿だ」と公言するのはあまり利口に感じられないのと同じようなものではないだろうか。

立ち読みしただけの本の内容を紹介するのもあれだが,「組織戦略の考え方―企業経営の健全性のために ちくま新書」(ISBN:4480059962)に,組織内のFreeRider対策として,バリバリ働く人にFree Riderなんぞ気にならないくらいの仕事とそれに見合うだけのお金を与えてしまえというのがある.Free Riderを気にして非難なんぞするくらいなら,オープンソース開発者に景気よくお金を与えてしまったほうが,長い目で見た場合はよい結果をもたらすと思う.
まず隗より始めよ,というか,何処かの企業がなんか適当な名目をつけてオープンソース開発者にポンと10億円くらい渡してしまえばよいのだ.どうせ世の中の企業は右に習えするからすぐにオープンソース長者が次々誕生するであろう.コンサルとして雇っているくらいで恩着せがましいことをいうのはかえってセコイ印象を与える.金は金があるところに集まってくるわけで,その反対に僕たち苦しいんです,援助してくださいなんて言ってもお金はこないと思うぞ.
オープンソース開発者を金持ちにする方法は,とりあえず誰かひとり金持ちにすることである.それ以外にはない.
無茶苦茶な結論でとりあえず終わるのであった.


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