ジュビロ磐田スタジアムの思い出(その1)

「野球場?」というのが僕の連れの最初の感想だった.
連れは宮城からわざわざ「ジュビロ磐田 VS ベガルタ仙台」などという悲惨な展開になりそうなカードを見に磐田にやってきたのだ.磐田どころかアウェイ遠征自体が初めてで,ジュビスタには何度か行った事がある僕がガイド役を勤める事になったのである.
確かに僕の故郷,宮城の片田舎では無骨な照明塔4つに囲まれた,まともに屋根もない施設といえば野球場と相場が決まっている.それも本格的な野球場ではなく「なんちゃらグラウンド」とか呼ばれる類の代物だ.
しかしサッカーどころ静岡では,聞くところによると照明塔4つに囲まれた,まともに屋根もない施設はサッカーグラウンドと相場が決まっているそうだ.そして僕たちが向かっている施設はある意味,その種のサッカーグラウンドの頂点に立つところである.
近づいて見て,連れはさらにショックを受けた.そこが鹿島アントラーズと双璧をなすクラブの本拠地とは信じられなかったのだ.たぶん鹿島スタジアムに連れて行けば,連れは,さすがあの鹿島アントラーズの本拠地だと素直に感動しただろう.埼玉スタジアム2002に連れて行けば劣頭のクセに生意気な,などと怒り出したりはしない.残念なことに僕と違い浦和レッズの強さを素直に認めている.
連れはサッカースタジアムといえば仙台スタジアム宮城スタジアムしか行った事がない幸せな人で,僕は仙台スタジアムは日本でも5本の指に入る素晴らしいスタジアムで,Jリーグ各クラブの本拠地の半分は,みんなここみたいにボロっちくて小汚いのだと教えてあげた.

ジュビロ磐田スタジアム.現在はヤマハスタジアム(磐田)と呼ぶらしいのだが,みんないまだにジュビロ磐田スタジアムと呼んでいる.クラブプロフィールによると前身はヤマハ東山サッカー場で1978年にオープンしたそうだ.その後Jリーグ加盟に伴い1994年に改装したのである.古いといえば古いし,とはいうもの改修してから10年くらいなわけで新しいといえば新しいわけだ.ではこのボロっちさはどこから来るのか?
日本にはここと同じようにボロっちいスタジアムがもう一つある.柏レイソルの聖地,日立柏サッカースタジアム,通称日立台である.この二つのスタジアムには共通点がある.どちらも日本のサッカースタジアムには珍しく公共建築物ではないということだ.
日立柏サッカースタジアムもジュビスタと似たような経緯をたどって建築されたスタジアムで,確かいまだにジュビスタがヤマハ所有であるのと同様,日立の所有物のはずだ.
このあたりが日本の捩れたというかおかしな状況の一つで,ヤマハにしろ日立にしろ事実上サッカークラブを所有するとはいえ,彼ら自身はスポーツエンターテイメント企業ではないのである.つまりサッカークラブを所有するとはいえ,その存在自体が収益をもたらすわけではない.むしろ持ち出しだろう.このあたりの矛盾がスタジアムのボロっちさとなって現れていると思う.
はっきり言えばこれらの企業にとってサッカークラブは広告媒体でしかなく,スタジアムはおまけでしかない.広告媒体として露出するのはクラブに所属する選手でありスタジアムではない.そしてTVあるいは広告を通して選手たちを見る一般視聴者,あるいは消費者のうち実際にジュビスタ,あるいは日立台に足を運ぶ人は1%にも満たないだろう.
というわけで企業にとってサッカークラブ,あるいはクラブに所属する選手は広告媒体として価値はあるが,スタジアムの方は広告価値は皆無なのだ.である以上スタジアムへの投資が最小限に抑えられるのは当然である.ジュビロ磐田スタジアムにオーロラビジョンが設置されたのは割と最近のことで,日立台にはいまだにそんなものはない.

以上 その1終わり
話が変な方向に行っているなあ.こりゃその6くらいまでいくのか?
なぜスタジアムがボロいのかフォローしようとしたのが間違いだわね.素直に「やーい,ジュビスタ,ボロー」とやればよかったのか.

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